Webライターの仕事を行う時に、必ず押さえておきたいのが「確定申告」に関する知識です。
専業・副業に関わらず、一定の金額以上を稼いだ時には確定申告をしなければいけません。
とはいえ確定申告はややこしい部分も多く、
「具体的にいくら以上稼いだら確定申告しなくちゃいけないの?」
「”経費”ってなに?”源泉徴収”ってなに??」
「確定申告したら、副業していることが会社にバレるのでは…」
というように、確定申告について「何が分からないのか分からない」という状態の人も少なくないと思います。
今回は、こういった悩みに答えていきます。
この記事の内容は以下の通りです。
- 確定申告が必要になる金額
- 「源泉徴収」とは何か
- 「経費」とは何か
- 「開業届」を出すメリット・デメリット
- 副業が会社にバレないか etc.
今回は「Webライターが最低限知っておきたい確定申告の基礎知識」について、なるべく分かりやすくまとめていきます。
確定申告に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
※僕はフリーランスとして確定申告は毎年行なっているものの、税金の専門家ではありません。
確定申告に関する質問にはお答えできませんので、不明点などは税務署に問い合わせることをおすすめします。
Webライターに確定申告は必要?【専業 or 副業で基準が変わる】
そもそもWebライターに確定申告は必要なのかについて、「専業」でやっている場合と「副業」でやっている場合のそれぞれのケースで確認していきます。
「専業」でWebライターをやっている場合
「専業」でWebライターをやっている場合、つまりWebライター以外の収入がない人は、以下の金額以上で確定申告が必要になります。
- 一年間(1月〜12月)の所得金額が48万円以上の人
※この48万円というのは「基礎控除」の金額からきています。以前までは38万円でしたが、2020年1月から48万円に引き上げられました(参考:国税庁|基礎控除)。
主婦(主夫)や大学生も、基本的には同じ考え方です。
ただし、所得金額が48万円未満の場合は「所得税の確定申告」が不要なだけで、「住民税の確定申告」は別途必要になります。
これについては税理士の方が分かりやすく説明している動画がありましたので、こちらをご覧ください。
ということで、上記の金額はあくまで「所得税の確定申告が不要な金額」となります。
ちなみに、単純な収入金額=所得金額ではありません。これについては記事後半の「「収入」と「所得」の違い」で詳しく説明しますね。
「副業」でWebライターをやっている場合
「副業」でWebライターをやっている場合、つまり会社員やアルバイトなど他に給与所得がある人の場合は、以下の金額以上で確定申告が必要になります。
・1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
・2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
つまり、「本業以外の所得が一年間で20万円以上の人」は確定申告が必要になるということです。
そしてこちらも同じく、あくまで上記は「所得税の確定申告が不要な金額」であり、「住民税の確定申告」は別途必要です。
「源泉徴収」に注意。基準以下でも確定申告した方がお得なケースも
注意点として、ここまで説明した所得金額以下であっても、確定申告をした方がお得になるケースがあります。
それが「源泉徴収」をされている場合です。
源泉徴収とは、報酬を支払うクライアント側が、ライターに代わって所得税を差し引いて納税すること。ライターの場合は「支払い金額の10.21%」が徴収される。
つまり、所得税は本来確定申告をした後に支払うものですが、それをクライアント側が天引きして支払っておきますよ、というのが源泉徴収です。
どっちにしろ所得税は支払わなければいけないので、それを確定申告後に自分で支払うのか、確定申告前にクライアントに天引きされるかの違いですね。
ここで注意しなければいけないのが、所得金額が195万円以下の場合、所得税の税率は5%だということです(参考:国税庁|所得税の税率)。
この場合、
という状況になりますよね。
この余分に天引きされた分は、確定申告することで還付金として戻ってきます。
こんな感じで、収入が少ない人でも、源泉徴収をされている場合は確定申告をした方がお得なケースがあります。
過去の取引が源泉徴収されているかどうかを確認し、戻ってくる金額と手間を考えて確定申告するべきかを判断するとよいでしょう。
Webライターが最低限知っておきたい確定申告の基礎知識
確定申告に関して、Webライターが「最低限」知っておきたい基礎知識が以下の4点です。
- 確定申告を行う時期
- 「収入」と「所得」の違い
- Webライターの「経費」になるもの
- 「家事按分(かじあんぶん)」とは
確定申告を行う時期
確定申告を行う時期は、原則として申告対象の翌年2月16日〜3月15日と決まっています。
1月1日〜12月31日までの所得金額を計算 → 翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告
ただし曜日の関係などで微妙に変わったりするので、国税庁のHPをしっかり確認しておきましょう。
「収入」と「所得」の違い
確定申告を行う上で必ず理解しておかなければいけないのが「収入と所得の違い」です。
- 収入…単純に入ってくるお金のこと。例えば一年間の合計報酬額が100万円なら、そのまま100万円が収入金額となる。
- 所得…収入から「経費」を差し引いて残ったお金のこと。経費とは「その仕事を行う上で必要な費用」のこと。
具体例として、以下のようなケースで考えてみましょう。
こういった場合の所得金額は以下の通り。
35万円(収入)- 20万円(経費)= 15万円(所得)
こんな感じで、収入金額ではなく所得金額で考えれば「15万円」となるので、確定申告が必要な基準を下回ることになりますね。
単純に「収入金額=所得金額」と計算してしまうと損しますので、この点には気をつけてください。
Webライターの「経費」になるもの
ここで問題になってくるのが、「じゃあどこまでが経費になるの?」という部分ですよね。
これについてはあまり難しいことは考えず、シンプルに「その仕事を行う上で必要な費用だったかどうか」で判断すると良いと思います。
Webライターの経費の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 仕事用のパソコン購入費
- インターネット代
- 仕事に関する本や有料商材の購入費
- 仕事に関する講座やセミナーの参加費
- 在宅ワークのためのデスクや椅子の購入費
- 交通費(取材記事などを受ける場合)
- 外出先で仕事をするために入ったカフェ代 etc.
これらはどれも「仕事のために必要な費用」と言えますよね。なので、経費に入れてOKです。
逆に言えば、仕事に関係ない出費を経費に入れるのはNGです。例えば日々の食費とか趣味に使ったお金とか、そういった仕事に関係ないものは当然経費にはなりません。
※「どこまで経費にしてOKなのか」は一口には説明できず、目的や使い方によっても大きく異なります。
この辺りは一つ一つググって確認したり、記事最後に「確定申告のオススメ本」を紹介しますのでそちらで勉強していきましょう。
「家事按分(かじあんぶん)」とは
そして経費に関連して知っておきたいのが「家事按分(かじあんぶん)」についてです。
家事按分とは、仕事用とプライベート用のどちらにも該当する出費に関して、その一部を経費として計上することです。
例えば、仕事用に購入したパソコン代を経費に入れる場合でも、
というケースもありますよね。
そういった場合はパソコン代を100%経費に入れるのではなく、例えば使用時間に応じて購入代の50%だけ経費にする、というのが家事按分となります。
※「家事按分できる割合」については人それぞれであり、この後説明する「青色申告か白色申告か」によっても変わってきます。
こちらも、最後に紹介する「確定申告のオススメ本」などで知識を身につけていってください。
Webライターは開業すべき?開業届を出すメリット・デメリット
Webライターとしてある程度稼げるようになったら、開業届を出して「個人事業主」になることも検討してみましょう。
ここでは、開業届を出すメリットとデメリットについて説明していきます。
※開業に専業かどうかは関係ありません。副業ライターでも開業届を出すことは可能です。
開業届を出すメリット
Webライターが開業届を出す最大のメリットは、「青色申告」ができるようになることです。
確定申告の方法には「青色申告」と「白色申告」の2つがあり、それぞれの違いは以下の通り。
- 青色申告…税金面で色々な特典を受けられてお得。ただし帳簿作成がめんどくさい。
- 白色申告…青色申告のような税制優遇はないが、帳簿作成は楽。
青色申告は正直めんどくさいですが、「65万円の青色申告特別控除」が受けられるなど、節税メリットはかなり高いです。
そしてこの青色申告を行うために開業届を税務署に提出しておく必要がある、という感じですね。
※65万円の控除を受けるには、開業届にプラスして「所得税の青色申告承認申請書」も提出しなければいけません。
詳しくは「所得税の青色申告承認申請手続(国税庁HP)」でご確認ください。
僕も確定申告は青色申告で行っていますが、全て手作業でやるのはダルすぎるので「マネーフォワード クラウド確定申告」という会計ソフトを使っています。
詳しくは記事後半の「ランサーズ・クラウドワークス利用者にオススメな会計ソフト」で説明していますので、そちらをご覧ください。
開業届を出すデメリット
一方、Webライターが開業届を出すデメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
- 失業保険が受けられなくなる可能性がある
- 扶養手当が出なくなる可能性がある
まず失業保険についてですが、そもそも失業手当というのは「就職活動中の人に対する、次の仕事が見つかるまでの生活費」として給付されるもの。
つまり、開業届を出した時点で「就職の意思はない」と見なされる可能性が高いため、その結果失業手当は受け取れなくなるケースが考えられます。
また、主婦(主夫)が開業届を出して個人事業主になることにより、それまで夫(妻)の会社から出ていた扶養手当などが貰えなくなる可能性もあります。
ただし、どちらもケースバイケースです。
結局はその人の置かれている状況によりますので、失業保険についてはハローワーク、扶養手当については勤務先の会社に確認すると良いでしょう。
Webライターの確定申告・税金に関するよくあるQ&A
Webライターの確定申告や税金に関する、よくある質問とその回答です。
- 「事業所得」と「雑所得」のどっちで申告するの?
- 会社が副業禁止なんだけど…。会社にバレない?
- 確定申告しないとどうなるの?
「事業所得」と「雑所得」のどっちで申告するの?
Webライターの収入を申告する際、「事業所得」と「雑所得」のどちらで申告すべきか迷ってしまうかもしれません。
これについて明確な基準はないようですが、以下のような考え方が一般的です。
- 「専業」として取り組んでおり、開業届を出している人 → 事業所得
- 「副業」として取り組んでおり、開業届を出していない人 → 雑所得
上記以外のケース、例えば「副業で開業届を出している人」などは、その実態に合った方を選ぶということになりますので、詳しくは税務署などで確認するようにしてください。
ちなみに、65万円の「青色申告特別控除」を受けるには「事業所得」で申告する必要があります。
会社が副業禁止なんだけど…。会社にバレない?
副業していることが勤務先にバレることはないのか、この点を気にする人は多いと思います。
そもそも、副業が会社にバレてしまう最大の要因は「住民税の支払い」が関係しています。
ほとんどのサラリーマンは、住民税を自分で支払うことってないですよね。それは、会社が毎月の給料から住民税分を天引きして、代わりに支払ってくれているからです。
そしてこの住民税の金額は、前年度の所得金額によって決まってきます。
つまり、
副業している分、所得が多い
↓
住民税の金額が上がる
↓
周りの社員に比べて住民税が高い
↓
住民税を支払っている会社側が不審に思う
↓
副業がバレる
という流れが、副業が会社にバレてしまうよくあるパターンです。
これを防ぐ方法は、今まで通り住民税を会社に納めてもらう「特別徴収」から、自分自身で住民税を納める「普通徴収」に切り替えることです。
そうすれば会社を通さずに住民税の支払いができますので、住民税をきっかけにバレる危険性をかなり下げることができるでしょう。
「特別徴収」か「普通徴収」かは確定申告を行う時に選択できるようになっていますので、この点もしっかり確認しておきましょう。
※ただし、これを行っても「確実にバレない」という訳ではないようです…。
どうしても心配な人は、住民税の納付先である市区町村役場に直接確認するのも一つの方法です。
確定申告しないとどうなるの?
確定申告を行う必要があるにも関わらず確定申告をしなかった場合、それが発覚すれば当然ペナルティを受けることになります。
具体的には「無申告加算税」や「延滞税」が課されます。まぁ罰金みたいなものですね。
確定申告が必要な金額以上を稼いだ人は、しっかり申告するようにしてください。
ランサーズ・クラウドワークス利用者にオススメの会計ソフト
上の「開業届を出すメリット」の部分でも説明したように、確定申告を「青色申告」でやれば大きな節税効果があるものの、帳簿作成が大変です。
なので、青色申告を行うなら会計ソフトを使うのがオススメ。一から手作業でやるのに比べて、確定申告の作業がめちゃめちゃ楽になりますよ。
とくにランサーズ・クラウドワークスを使っている人にオススメしたいのが「マネーフォワード クラウド確定申告」です。僕もこれを使っています。
マネーフォワード クラウド確定申告(1ヶ月無料お試しあり)
「マネーフォワード クラウド確定申告」は「クラウド型会計ソフト」の一つ。
まず前提として、会計ソフトには「クラウド型」と「インストール型」の2つがあります。両者の主な違いは以下の通りです。
- クラウド型…料金は月額制。Windows・Macの両方に対応。操作感はシンプルなものが多く、初心者向き。
- インストール型…料金は1回買い切り。ソフトによりWindows・Macのどちらかに対応。操作感は複雑なものが多く、どちらかというと経験者向き。
「クラウド型」は毎月料金がかかるものの、税制改正には無料でアップデート対応可能、操作感もシンプルで分かりやすいソフトが多いので、初心者ならこっちの方が使いやすいはずです。
そしてクラウド型の中でも「マネーフォワード クラウド確定申告」がオススメな理由は、銀行やクレジットカード、各種サービスとの自動連携が強いからです。
ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトとも自動連携が可能で、自動連携するとこんな感じでランサーズ・クラウドワークス上の取引データを読み込んでくれます。
読み込んだデータを整える作業は必要ですが、一から入力する必要がないので圧倒的に作業量が減りますし、手入力じゃないのでミスも減らせるんですよね。
僕はこれ以外にも銀行口座、クレジットカード、Amazonアカウントなども全て連携させています。
「マネーフォワード クラウド確定申告」を使うには月額1,000円程度かかりますが、間違いなくそれ以上の価値はあると思います。
1ヶ月間の無料体験もあるのでまずはそちらをお試しください。無料お試しはこちらからどうぞ。
より具体的な内容は本で学ぼう。確定申告のオススメ本はこちら
今回説明した内容は、あくまで「最低限」知っておきたい確定申告の基礎部分です。
この記事の内容だけで確定申告が完璧にできるかといったら、多分それは難しいですよね。
税金の仕組みや書類の作成方法などについて、もう少し調べておく必要がありそうです。
ということで、確定申告についてより具体的な内容を学べる本を紹介します。
お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!
こちらの本では、以下のような内容を網羅的に勉強できます。
- 確定申告に必要な書類・作成方法
- どこまで経費にできるか?
- 家事按分について
- 青色申告について
- 節税のテクニック
- 副業と確定申告
- 確定申告の相談場所 etc.
こちらは漫画がベースになっていて、ところどころに詳細なコラムが挟まれている感じの本となります。
とても読みやすい本ですので、「何から手をつければいいか分からない…」という人はぜひ手にとってみてくださいね。
という感じで、今回の内容は以上です。
専業・副業に関わらず、確定申告について正しい知識を身につけていきましょう。
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